2020年度 一般社団法人小諸青年会議所

2020年度 一般社団法人小諸青年会議所
理事長所信 柴崎晋輔

【はじめに】
昨年、認承55周年を迎え、未来を見据えた記念式典・記念事業を行うことが出来た。55年間JC運動を続けて来られた諸先輩方の高い志と弛まぬ努力に敬意を表す場であるとともに、一般社団法人小諸青年会議所として、この地域の方々全てに感謝の意を表す場でもあった。さらに昨年、子供たちの現状を知るためにとったアンケート結果を踏まえ今後の未来ビジョンを提唱した。
夢と希望と誇りに満ち溢れたまちづくり。歴史・文化・自然を生かし、心と創造性あふれる人づくり。支えあう小諸の絆づくり。私達は、この3つを念頭に地域の皆様と一丸となり、明るい豊かな社会を目指して認承56年目の新たな一歩を踏み出す。

地域をより良くしたい、そんな熱き想いと高い志を抱き1964年東京オリンピックの年に小諸JCが誕生した。東海道新幹線の開通、国立競技場の会場などのインフラ整備が行われ高度経済成長を後押しする中、心の豊かさを求め様々な運動を行い、社会的価値の創出かつ社会により良い変化を起こし、今日まで繋げてきた。我が国は2度のベビーブームを迎え、人口の増加、衛生水準の向上や医学の進歩により平均寿命が昭和20年は50歳だったところ、80歳代までに伸び、死因も感染症から生活習慣を原因とするものに変化してきた。工場が大都市を中心に立地されたことなどから、大都市への人口集中が加速し、家族の在り方も変容してきた。

子供3人以上、3世代世帯は珍しくなかった時代から、核家族化が進み、さらに単身世帯の増加、特に高齢者の単身世帯の徴候が顕著に現れている。こうした家族の在り方の変容は、地域における繋がりの希薄化が一つの大きな要因となっている。本年は再び東京オリンピックが開催される年。時代はさらに大きく変化を起こし始めている。高度情報化と人工知能の台頭により、従来評価されてきた能力や仕事の変化、そして直接的な繋がりの希薄化がさらに進む。

また、日本は成長期を終え、デフレからの本格的な脱却の途中。景気は緩やかな回復傾向を迎え有効求人倍率も順調に推移する今、求職者がよりよい環境、職場を選択できる時代。道徳的な価値や社会貢献を重んじる考え方が社会の中で大きな地位を占めてきている今だからこそ、心豊かに社会をよりよく変革させていくことが次なる経済成長の未来へと繋がっていく。

また、2025年には第一次ベビーブームと呼ばれる「団塊の世代」約800万人全てが75歳以上の後期高齢者になる年。全国的に見ると国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という、日本が経験したことのない超高齢化社会を迎える。我々の住む小諸市では全国平均をさらに上回り、1人ないし2人の青年・壮年・中年 が1人の65歳以上の高齢者を支えていく社会。国の政策は2025年までに、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを、人生の最後まで続けることができるよう住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を目指し準備をそれぞれの地域が着々と進めている。しかし、いくら制度やサービスの充実がはかれてもこの地に住む人々の仲間力、繋がりや絆が不可欠なもの。相手を「想い」行動することこそがまちを変えていき、住みたいまち、住み続けたいまちへと発展していく。

社会の変化を上手く捉え、社会をより良くするためにも、青年は誰よりも率先して行動していかなければならない。私たち小諸青年会議所は、半世紀にわたり英知と勇気と情熱を持った若者たちによって、この地域を「想い」活動を展開してきた。現在までの長い歴史の中で諸先輩方の想いを受け継ぎ、家族を愛おしく大切に想うように周囲を、地域を、まちを、そして日々行き交う人を想う「愛・想・こもろ」運動。今この時代だからこそ、ふるさと小諸を誇りに「想い」志を同じくする仲間を増やし、魅力ある活動を続け、地域の絆をさらに深めていく必要がある。

【基本方針】
1 まちと人々を魅力で繋ぎ、地域の絆を育もう
2 互いに切磋琢磨し、仲間づくりに繋げよう
3 全ての人が笑顔になれる持続可能なまちづくりに繋げよう

【まちと人々を魅力で繋ぎ、地域の絆を育もう】
昨年のアンケートでは、子供たちに小諸市の好きな場所を尋ねた。学校や家庭が好きなことはもちろんだが、レジャー施設や商業施設だけではなく、懐古園や浅間山、千曲川などの歴史的文化遺産、自然環境に愛着や誇りを持っていることが感じ取れた。また数多くの個々が誇りに想うふるさとの魅力が散りばめられていた。小諸市教育委員会でも「小諸ふるさと遺産」を認定している。この多くの魅力を発信し、繋げていこう。昨今、青年会議所以外にも地域貢献する団体が多く存在している。私たちは若きリーダーとして率先して行動し、多くの団体と協働し子供も大人も一緒になり、ふるさとを「想い」人を「想い」、絆を深め、愛する地域をともに育てていく。そんな運動を継続できるよう、夢と希望と誇りに満ち溢れた、まちづくりのために活動を展開していこう。

【互いに切磋琢磨し、仲間づくりに繋げよう】
まちづくり、人づくりを行うためには、自己が魅力的な人間に成長して行くことが不可欠である。青年会議所は40歳までという限りある時間の中で、会員同士が互いに切磋琢磨し刺激し合いながら、個性・価値観・主張を交流させ自分自身の魅力を研鑽できる「学びの場」である。自己研鑽のための研修を数多く行い、魅力的な人間に成長して外部に向けて積極的に発信しよう。そして新たな多くの仲間と学びの機会を増やし、心と創造性あふれる人づくりを行い、地域の絆を深めていこう。
【全ての人が笑顔になれる持続可能なまちづくりに繋げよう】
私たちは昨年より社会の改善指標としてSDGs(持続可能な開発目標)に注目し、SDGs17のゴールと169のターゲットを事業目的の指標として組み入れ活動を行ってきた。誰一人取り残さない持続可能で多様性と包摂性のある社会を実現するために、全ての人が笑顔で生きがいを持ち暮らしていけるサイクルを生み出そう。その為にも我々だけでなく市民と手を携えていく事が大切である。2020年は小諸市長選挙の年。市民全員が未来を見据えまちの事について改めて考える機会となる。私たち小諸青年会議所はより多くの市民と手を携えて未来を見つめ行動出来る機会を創造し、誰一人取り残さない持続可能なまちづくりに繋げていこう。

【おわりに】
現実という壁に押し潰され、苦しさやつらさから目を背けて本来何がしたかったのか、何を伝えたかったのか、彷徨ってしまう。夢や理想はいつの間にか幻に、いやあったことですら忘れ去られてしまうことがある。

それでもなお、という気持ちが人生を変える

私達は、「明るい豊かな社会」の実現に向けて常に前を向き、行動し続けて行かなければならない。新たなる時代に向けて、向かい風が吹いても這いつくばってでも、一歩一歩前に進もう。明るい豊かな社会を目指して

「近づくほどに遠ざかる、幻みたいな理想だと嘆いて
得意の下方修正、無理っぽいとか言って 現実はとか言って、誰のために
夢の中じゃなくて遠い理想じゃなくて なりたいようになりたいなら
這ってでもいいからにじり寄って行くような今日を、明日を、あさってを」
NENASHIGUSA 作詞:北畑 欽也